2019/02/27

本末転倒~得られない教訓

中世のイギリスにて、
階級社会における特権階級に育った男性がいた

しかし、彼は親と意見が合わず、
対決の結果、家を出て、外の社会に飛び出した
(いわゆる放蕩息子というパターン)

とある女性と出会い、恋に落ち、
結婚をして、子をなしたが、
彼は生きる智慧と力に乏しかった
…と、いうかまったくの世間知らずだった

所詮は温室育ちの育ったお坊ちゃん
階級意識からか人に頭を下げることが出来ない

自分が何でこんな仕事をしなければならない?と、
いまや労働者階級に身を置いているのにも関わらず、
プライドの高さから周囲を見下し仕事を選り好みし、
問題を起こしてはイヤになってすぐ辞めてしまう
自分はもっと良い仕事を与えられるべき存在であると…
こんな安い賃金でこんな雑役をしたり、
雑な待遇を受けて甘んじていい人間ではないのだと…
貴族だったときの考えや習慣を捨てられない

そんなんだからいつも貧乏で金に困る生活
当然ながら家賃も滞納、衣類も着た切り
乳幼児に満足な滋養も与えてあげられない
清貧生活を通り越して、もはや餓死寸前

家を出た当時から着ていた立派で高級な上着
これを売ってしまえばいくらかは金になるだろう
そう気づいた時にも、
それは自分の育ちの証明でもあるので、
売ることを選ばなかった
良いコート、上質なシルクのシャツを羽織る自分を、
「お前らとは違うんだと」
他人と自分を隔てる身分の証の境界線にして

すでにそれらはとっくの昔に汚れきって
穴があき、擦り切れているというのに…


ある日、彼が我が家に帰ると、
寒い部屋で妻と子が死んでいた
餓死だった 
暖房もつきた寒い部屋で
妻と子はやせ細った身体で冷たくなっていた

彼は後悔した
愛する人を亡くしたことを

そして気づいた
自分のプライドが妻子を殺したことに

早く故郷に帰って 父母に謝罪し、
借金の申し込みをすればよかった

いや、上等な自身の衣類を売って
少しでも金に換えて 
生活費の足しにすればよかったのだと…

どんな仕事でも与えられたことを感謝して
文句を言わずに働けばよかったのに…

やがて妻子の後を追うように、
飢えと渇きと絶望の中、すぐに彼も死を迎えた

その人生を振り返り
前述のようなことを繰り返し後悔するものの
同じ過ちを二度と繰り返すまいと
そのように決心するも

人が変わるのは簡単ではない



20世紀の終わりに日本に生まれたその人物は、
当然「彼」であったことは覚えてはいなかった

だが、「貧乏」を憎み、「お金」に執着し、
お金のない状態とお金を失うことに対して、
過度な恐怖心を抱いていた

そしてホワイトカラーの仕事こそがすべてであり
名のある企業に勤務することが大事で、
人様に自慢できるような仕事であるか否かが、
仕事の価値基準だった

ブルーカラーやアルバイトなどは、
人に言えない恥ずかしい仕事、ということらしい

失業している間、せめて職が見つかるまで、
短期アルバイトをしてはどうか?
とアドバイスしても、
「アルバイトなんか、自分のする仕事でない」
と怪訝な顔をする

人に見下されること、バカにされること、
とくに仕事で評価されないこと、
尊重されないことにフラストレーションを抱えており
自分を嫌う人や冷たい人を憎む傾向もあった

何故バカにされるのか…

そう、人は見た目も大事だ

清潔感のない髪型や
流行おくれの古さの目立つ服装
年齢やTPOに合わない小物
年齢のわりに子供っぽい話し方や立ち振る舞い
そして社交性のなさ

人は見た目ではないというけれど
上記のようなところで判断されるのは仕方ない
とくに女性はそういうのに厳しい
上記にあげたような恰好をしている人は
まず引かれるし あまり好かれない
性格がとてもよくて仕事が出来れば別だが

何故なら見た目に生活態度というのが出るからだ

ブランド品を身に着けているとか
高い衣類を着ていなければいけないとかそういうのはない
ヘアスタイルもファッションもメイクも、
お金をかければいいというものではない
いかな安い服でもファストファッションでも
他人の眼から見て 好感度の高い服装は十分出来る


20年以上前に買った、高いウールのコートは
あちこちが擦り切れて汚れてみすぼらしくなっていた
持っていたバッグは、普通こんなの
上場の会社のオフィスにはもっていかないだろうというもの

これでは「うわ、何この人」と思われても致し方ない
それを指摘しても
「これ、ブランドものだから」「気に入っているから」

しかし、他人から白い眼で見られるのは許せない

でも、どうみても、浮浪者とまではいかないけど、
貧乏人って感じで、勤務先とギャップがあるんですよ

ダサいとかセンスが悪いというはともかくとして
清潔感ってホントに大事なものなので

買い換えたいといいながら、
「ちゃんとしたものでないと買いたくない」といい、
「ユニクロとかは絶対にイヤだ」という
「自分はファッションにこだわりが強いから」
「安物だったら着たくない」と…

そのくせ、お金がないから洋服が買えないと言う
いやさ ユニクロや安い服でもいいでしょう
清潔なセンスのよい、
自分に似合う年相応の衣類を買えば…
何万もするコートを買おうとするから買えないんですが



そんな感じで
結局 人というのは何世紀を経ても…
どれほどの痛みを人生で味わってきたとしても、

なかなか
人は学ぶことが出来ず、変われないものです

愛する人の命を、
大事なものを自分のそのプライドのせいで失っても

一文の得にもならない己がプライドで
奪ってしまったという後悔の涙を流して
慟哭した日々も 

喉元過ぎれば熱さまで、で…

すべて忘れ去ってしまう


どれほどの痛みを味わっても 後悔しても
なかなか人はエゴイズムを捨てきれず
変われないものです

そうやって何度も繰り返し繰り返し、
似たようなレッスン(人生)と直面し、
変われるチャンスを与えられてもなお、

変わることを選べない

「助けて下さい」といい
「なんで私がこんな目に」といい

世を恨み、人を恨む


お金が悪いのではない
世の中が悪いのではない
お金より大切なものがあることを
選べないことが悪いのです

職業を差別し、
人の間に垣根を作る、その心(エゴイズム)が悪いのです

それを学ぶための今の人生です

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