2020/05/03

投影と妄想の境目~後半

今は昔の80年代
高校のクラスメイトが海外の某バンドにはまり
スタッフとしてFCのサポートをすることに
(全米チャート入りする位には有名なバンド)

今とは違ってネットも携帯もない
非常にアナログな時代であったので
会誌は郵送だし会費の徴収も郵便振込
従って封入れ作業するにも人海戦術で
人手はないよりもあった方がな状況でした

私は別にそのバンドに関しては
別に好きでもなんでもなかったんですけど
(曲はまあいいとは思うけど好みではないというか)
色々ありましてでお手伝いに駆り出されることに

お茶の水のミュージックライフの近くにあった
その事務所は電車一本で行ける距離であったし

そこで知り合ったYさんという主婦の方がいて
私とは一回り以上 年が離れていたけれど
とても気が合って親しくなったのです
年上の姉さんに可愛がってもらったというべきか
彼女は今でいうセレブ 旦那さんはエリートで
お兄さんも弟さんも東大卒の官僚だったりした

















最初のこそは他の共通の好きなバンドとか
音楽の話とかで盛り上がって
女子トークを愉しめていたのだけど

段々と
知り合ったきっかけになった
そのバンドのVo.に対してというか
彼に関することで私の頭が
「???」となってしまうような
そんなことを彼女が言い始めるように


ちなみに
私がそのFC事務所に出入りするようになったのは
office内で怪奇現象が起こるようになったからで
(結果的に大したことではなかったが)
ちょっと来て欲しいんだけど的にと強引に呼び出され
それが最初のきっかけでその後
なし崩し的に手伝いを押し付けられたといういきさつ

そういうこともあって
人には言えないような不思議なことを
私には話しやすかったというのが大きかったのだろう
私はまだ学生で今みたいな仕事はしていなかったけど
霊的なことを 誰にも言えないような
不思議な話を出来る唯一の相手として
気を許してくれてもいたのだろう


どんなことを言い始めたかっていうと
「私は彼と前世で会っていたと思う」みたいなこと

実のところ彼女にも前世の記憶の一部はあって
それはお城?お屋敷?(日本)の中の
何十畳もするようなだだっぴろい部屋の部屋で
女性であった自分が一人で寝ていて
外が騒がしいので目覚めると周囲が燃えていて
城が焼け落ちていく中 自分も逃げきれず
炎にまかれて死んでしまう…というもの

そこだけ子供の頃から何度も夢に見る…という話


当時の私は素人だし 前世に関しては
様々な本を読み漁っていたから知識はあったけど
自分の記憶を持っているくらいで
他人のことまではよく分からなかったというか
それをどう説明していいのか術や知恵といった
経験値を持っていなかった
何しろ自分より一回り以上も年上の人で
10代の娘にとってセレブ過ぎる世界を
味合わせてくれる人に対して
上手く伝える言葉を持っていなかった

だから否定も肯定もせずに
「そういうこともあるのかもねー」
とラフに聞き流していたのです


何か創造的なことを行うアーティストとか
特にオーディエンスたちの支持(愛や憧れ)を得て
輝く立場にあるスターとかアイドルとかは
ものすごくパワフルな幅広いオーラを持っているし
たくさんの人を惹きつけて恋させるような
そんな魅力と膨大なエネルギーに満ち溢れているから
一目でハートを射抜かれてしまう人も少なくない

むしろファンを一目惚れさせるような力のない人は
自国以外の国まして世界市場(アメリカ)の
ヒットチャートにランキングできるわけはないのです

そんなんで最初はそうしたファン心理からの
ハートをノックダウンされたことに対する
ちょっと大げさな夢見がちファンタジーくらいに
適当に相槌打ってた気がします

でもそれがいけなかったのかな

段々と
ライブとかで自分を見てるとか
ミュージックビデオなんかの映像そのものが
自分の過去生にリンクするとか
自分へのメッセージが含まれているとか
歌詞の中で自分の名前を言っているとか

ちょっとそれは違うんじゃない?
ありえないし考えすぎじゃない?って方向に

ライブで目が合うのは
そりゃその場にいればあるかもだし
ミュージックビデオに関しては
当人たちの意見も反映されてるかもだけど
ほとんど制作側がシナリオ作ってるし

そもそも本当に過去生でご縁があった人ならば
FCの会長さんが彼らと面識も交流もあって
彼らの本拠地たるイギリスでも来日した時にも
会うことの出来るポジションの人なんだから
その時点で手繰り寄せることの出来る
繋がりがすでにあるということで
それを通じて直接会うセッティングが
運命の糸として成されるはずでせう

けどそうならないのはそういうことなんだよね

FCの会長さんとは彼女仲良かったんだから
(別に妨害されてたわけじゃない)

でもそれ以前に英語話せないのは致命的だったかな
彼(Voさん)は日本好きで日本かぶれな人だったけど
日本語はしゃべれなかったし
イギリス留学をしたこともある彼女なのに
英語が挨拶程度ではそこから発展するものはなかろう

確かに彼…はかつて日本人だったよね
彼女が生きていた過去に
日本に来日して東洋の神秘や
侍文化に魅了された外国人だったよね
(宣教師として)

だからMVの中に
日本文化へのオマージュとも取れる
東洋的なエッセンスがあっても不思議じゃない
その時の過去生での経験
日本への憧憬が曲やMVの世界に描かれていても
しごく当然のことなんだろう


彼女は当時の堺の街で
珍しい南蛮人…異国人としての
彼の姿を"見かけて"
その瞳に強く焼き付けることになったのだろう

それまで見たことのない大柄で異質な容貌
青い瞳で彫りの深い 変わった服装をしたその人は
生涯忘れられない出会いになったろう
ある意味でその出会いは
落雷のような衝撃を与えたのかも知れない

けれど言葉を交わしたわけじゃない
親しく交流したわけではない
恋人同士だったなんてことはない

当時の彼からしたら
異国人としての日本人の中の一人
大勢いたオーディエンスの一人という意味では
今も過去生も同じポジション

特別な出会いと言えばそうだが
だからといって特別な関係であったとは限らない
















彼女はその時
私生活において寂しかったというか
心が満たされていなかったというか
たぶん孤独だったのだと思う

けれども当時の私はまだまだ10代の素人で
今のようなスキルも持ち合わせていず
彼女が持ち慌ていた過去生の記憶と
憧れのスターに対する感情の投影を
上手く結び付けて昇華させるべく
手立てを何も持っていなかった


確かに彼とあなたは出会っていました
けれど出会っていたというだけです
あなたが今生で記憶の欠片を所持している
その過去の人生において
確かに同時代に生きていたし出会ってもいる

けれどそれは
あなたが彼という存在を視覚として認識し
知ったという事実でしかなく
お互いに人として関係しあったわけではないのです


得てして多くの人が
表舞台に立つスターや有名人に対して
抱くデジャブにも似た感情は
その時代にも目立つところにいて
より多くの人に存在を知られ
光彩を放っていたその人の
その時代の姿を
遠くから見て知っていたから

そういうのってよくあります

昔も今も
人目に触れるところにいる人だったから
当時も名の知られた人だったから

活躍している有名人だったとか
そういう人だったから


そうですね
某バンドのヴォーカルさんも
安土桃山時代に日本を来訪した宣教師ならば
多くの日本人の人目を引いて
物珍しさに見物人が集まったことでしょうし

過去において
王族だったり英雄扱いされた人とか
トップにいた人だったならば
民衆という烏合の衆からしては
今の芸能人を遠巻きにする感覚でしたでしょう

先方からしたら
自分を遠くから眺めていた
一人ひとりのことなんて覚えてはいません

そんなものです


何処かで見たことがあった気がする
この人のことを私は知っている
過去生で会った気がする

そんなデジャブもあって然り

"会っている"のは事実で
"見たことがある""知っている"のも
そこに嘘はないけれど

必ずしもだからといって
深い絆と関係のあった再会なわけではないのです

もちろんそれも懐かしい記憶

それを恋の始まりとするのもありなんですけど
恋の続きと勘違いするのは完全な妄想なのです

0 件のコメント:

コメントを投稿