2015/10/31

スピリチュアル・カルテNo.22「再生する家族・後編」

ケースファイルNo.22  Sさん一家の場合
「再生する家族・後編~昨日の敵は今日の家族」 


No21からの続きです。
ある家族の「不思議な縁(えにし)」のハナシ」

縁は巡りめぐって、からからからくり回って、
からまわりもして・・・ですかね。


ベトナム帰還兵の問題で、ベトナム症候群というのか・・・
帰還兵の心理的後遺障害(PTSD)はようやっと、
注目され、有名にもなったけれど。
そういう「苦悩」を刻まれた人は、もちろんそれ以前にもいたわけで。

ただ、
レオナルド・ダヴィンチの意に反した発明の利用のされ方や、
産業革命といった機械文明の発達、
科学者ノーベル(ノーベル賞でおなじみ)が開発したダイナマイト、
大量殺戮兵器としての武器の破壊力の進化。

それらによって、戦争はもっと複雑で悲惨なものへと代わっていった。
とはいうものの、
ベトナム帰還兵を悪夢で苦しめたのは、そんな文明の利器ではなく、
もっと原始的な、人が同胞たる人を殺すために昔から繰り返し行ってきた、
シンプルかつ残忍な殺戮方法の数々と、
死と隣り合わせの極限下におかれたこと・・・なんだけど。


最近いらした、クライアントさんのご主人も、
そんな過去の亡霊に悩まされている人だった。
もうずっと、ずっと昔のことなのに、
その傷は深く、深層意識の奥底に、根深い闇をもたらして・・・。
当人覚えてないだけに、対処も出来ず、
その傷が癒えるまで、苦しむことになる。
何しろ、今回の人生で負った傷じゃないから、
当の本人が過去生に原因を求めようとしない限りには、
理解できないことだろう。

(でも、過去生セラピーだけが唯一の解決法というわけではない。
他のアプローチ方法ももちろんあります。
だけど、当人の許可なしにそれを勝手にやるべきかは
その人との関係性や良心に従うべきでしょうね。
なんでもかんでも、カルマにしても、解消したり、
治せばいいというものではないので。
本人が癒されたいという意志をもたないのに勝手に操作したりは
余計なおせっかい以外の何ものでもないですしね)


そして、戦争という場では敵味方にしか、お互いを、
攻撃対象であるか否かでしか、
相手の価値をはかる方法はなかったりするのだけれど・・・

相手は自分を殺す人か、殺さない人か、
自分が殺していい人か、殺してはいけない人か、のいずれかで。

でも、戦争でなければ・・・戦争という場の敵味方という出会いでなかっなら、
平和的な状況の中にあったなら、友好的に言葉を交わし、
互いを知って友達になり、
永続的な絆を築くことができたかも知れなかったのに。

戦争というのは、互いが属する国で、民族で、
そうした可能性すべてをも、引き裂いてしまう。


私が好きなドラマ「コンバット」の中でも、
「もしも、俺たちがアメリカ兵、ドイツ兵でなかったら?」
という、相手に対して友情を感じれたのに、という話があるし、
「死神くん」というコミックの中にも、同種の話があったりする。



さて、ハナシを主役の旦那さん、に戻すことにしましょう。


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奥さん・・・の話を聞いて、いらして下さったご主人は、
私の叔父に似ている人で、初めてお会いしたとき、

「あれ? とし兄ちゃん?」と思ってしまったほど。

年はたいして変わらないのに、失礼な?
まあ、九州出身だと似るのかな(んなことないって)


その方・・・Sさんの旦那さん(Sさんでいいか)が、
直面していた問題や現実的な悩みについては、
ここでは書きませんけど、
その時に「見えた」過去の人生。

それは、今の人生の直前の人生の悲劇的な最期の記憶。

Sさんは、連合軍の兵士だった。

所属はわからないけど、「制服」が連合軍のものだったので、
たぶん間違いないと思う。
(私は、「コンバット」のファンだったから)

陸軍なのか、空軍なのか、所属はわからない。

私の知識の範囲で推察するに、
Sさんはかの有名な「ノルマンディー大作戦」で
連合軍の一人の兵士として加わった一人。

飛行機から、パラシュートで降りていく兵士たち。
その中にSさんがいた。

が、ドイツ兵に見つかって、打ち落とされる仲間、
木の枝に引っかかって打たれたり、
地上に落ちるも、打たれて死んで・・・
何人かは草むらや建物の影に落ちることが出来たけれども、
予想外のことらしく、皆パニックで、士気は乱れがち。

とうやら、落下場所を間違えたらしい。

本来は、別のところ・・・敵のいないところに落下する予定だったものの、
風向きというよりは、地図の計算ミスというか、なんらかのミスで、
間違って敵のいるところに落ちてしまったらしい。

Sさんは、途中で打ち落とされることもなく、茂みに隠れて、
次々と降りては打たれる仲間を少しでも救おうと、
少数の仲間と合流して、敵に銃撃をしかけていた。
そして、無線のようなもので味方に応援を頼みつつ、
「なんでこんなことになったんだ!バカヤロー!」と、
上官のような人に文句を叫び、やがて彼ら・・・も死の瞬間を迎えた。

死の後、上層部に対して、
不信感とものすごい「怒り」が彼の中にたまった。

そのことをSさんに話すと、

「や゛ー わかります。
実は自分は、以前会社勤めをしていたとき、
どうにも「上司」とか、会社の上の連中が信用できなくて、指示に従えず、
いつも逆らってケンカばかりしていました。
なんていうか、何を命令されても、それに従いたくないというか、
反感を持ってしまって、言われたことと逆のことをするくせがあって・・・
なんでいつも彼らに対して、「怒り」を持ってるんだろう。
彼らの指示に従うことは「よくない」
「聞いたら負けだ」という思い込みがあるんだろうって、
いつも不思議に思ってたんです。
この人生で、そんなことがあったからなんですね。
そういえば、子供の頃、GIジョー人形、好きだったなあ・・・」


戦争のトラウマというには、Sさんのケースは軽いものではある。
でも、この経験が彼の「社会性」に実害を与えていたのは事実。
会社で、反抗的な部下というのは、仕事にならなさすぎるし、
昨今だとリストラの対象にまっさきになっちゃうし。


でも、その時にはもうSさんは自営業だったので、
それを知ったことでこの問題が解決したかどうか、
確認する手段はありませんでしたけどね(笑)


それから、「ノルマンディー大作戦」に関しては、
私自身がテレビドラマや映画で知識を持っていたので、
私の頭の中で、こじつけて創作した物語でないとは、
否定し切れないのよね。

本当かも知れないし、違うかも知れないし・・・
「過去生」を見るときは、
それを100%の真実と「信じきらない」ことも大切です。
でないと、惑わされて
真実や本当に肝心なことを見失ってしまう可能性があるので。


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で、Sさんご夫婦の息子さん。
長男である彼、いまどきの若者であるのに家業を継ぐことを厭わず、
農業関係の大学に行かれて、
積極的に農業に取り組む意志をお持ちの方でした。

この場合の彼の過去も、セッションを受けられた目的の「ついで」で、
知っても害がないことだったから、お伝えした内容になります。

今の人生の前の前で、彼は「日本兵」の一人でした。
第一次、ではなくて、先の太平洋戦争のよう。

私が見たのは、
彼が東南アジアのどこか、のジャングルのような場所で
同じ部隊の仲間たちとはぐれて、さまよっている姿。

正確な国名、それ以前の人生とか、そのあたりは見えなかったけど。

飢えて、食べ物がなくて、とにかくお腹が空いて、
木登りが得意だった彼は、木に登って、
木の実なんかを取って食べたりしてたんだけど、
水がなくて、雨水や泥水を飲んでお腹を壊して、
飢えと病気で衰弱して、木の幹にもたれて息を引き取った。

故郷の家族、父母を思い、懐かしい日本の田園風景、
子供の頃のことの楽しかったこと、一緒に遊んだ友のこと、
そんな故郷の夢を見ながら。

この時、飢えた経験が、
彼を「食べ物」を作る仕事、農業への従事へと向かわせたのだった。

「母ちゃんの作った握り飯を、おなかいっぱいくいてえ」

なんて思いながら亡くなったから。

たぶん・・・
そんな風に思って異国の地で亡くなった、日本兵は多かったかもね。

私の祖父も、フィリピンとかに出征していて、
「食べるものがなくて、トカゲとか虫とか食べた。下痢に苦しんだ」
と言っていたので。



その話を、母親の方のSさんに話したら、

「あ゛ー わかる。
わが子ながら、一昔の人間みたいに堅苦しいくらいに礼儀正しくて、
動作とか、言葉遣いとか、身なりのきっちり具合とか、軍人みたいだもの」

と・・・。


父は、アメリカ軍の兵士だった。
息子は、日本兵だった。

ということは、同じ戦争で敵味方だったということ。

同じ戦争といっても、
同じ場所、時期に、兵士として戦い交えたことはない二人だけど。

妙な縁だと思う。

その時期に出会っていたら、決して交じり合うことなく、
それどころか、
敵同士として戦って、お互いの命を奪っていたかも知れない相手なのに。

今は、親であり、子であり、家族として、労わりあい、
互いを尊重しあって、力をあわせて、生きている。

そういうことがあるということは、その逆に
ただ、その時、たまたま違う人種、違う国籍、国に生まれたというだけで、
敵などの憎悪の対象になってしまう場合もあるということ。
かつての家族や友、愛しあったもの同士が・・・。


「日本人なんて嫌い」という人が、かつて日本人だったり、
「韓流ブーム、うざい」とかいう人が、その昔韓国人だったり、
「白人至上主義」を抱げている人が、黒人として生きたこともあったり、

人生なんてそんなもの。


そういう意味で、敵だ味方だ、
国が言葉が民族が違う、とか何とか言ったって、
私たちはみな家族で、親戚で、いつか何処かで繋がっていて、
「縁」によって結ばれていて・・・
次には「親子」として、互いを必要とし、いつくしむ可能性を持っていて、
憎みあう理由なんて何処にもなかったりするのだ。


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先の戦争(日本にとっての)での戦没者は、
前にも書いた、原爆で亡くなった方も含めて、
ぼちぼちいらっしゃいますね。

本土空襲で逃げ回ってるときに、
背負った子供もろとも焼け死んだ人生を持っていた方。

イギリス本土のドイツ軍による空襲で亡くなった人生を持つ方。

ドイツ兵だった人、ナチスの収容所で人体実験をやってた側の人、
収容所にいたユダヤ人の人も・・・それぞれ。

戦争以外では、関東大震災とか、
東北のほうの地震で土砂崩れで亡くなられた人生を持つ方、とかとかも。

生まれ変わりのサイクルはそれぞれです。
でも、大きな事件で亡くなった人は、早いですね。
集団で生まれ変わってくるから。


今回のSさんの息子さんは、靖国に祭られているのだなあ・・・
当の本人は20数年前に、生まれ変わって、
せっせと仕事して、人生エンジョイしてますが。

その時の家族は子孫? 
うーん・・・結婚はしてなかったみたいだから、彼の子孫はいないけど、
彼の親戚とか、兄弟姉妹の子供とか孫はいるのかもな。

私も、前の人生で死んでから50年経ってないので、
妹も生きてるかもだし、その時の親も長生きしてたら
同じに日本に生きてるわけで、墓も位牌もあったりして・・・

なんかなー フクザツですね。

でも・・・
何度も様々な大陸、国、民族に生まれ変わっている人生を思えば、
敵として対峙する人々の中には、過去生の自分の子孫もいて、
攻撃する対象もかつて生まれて暮らした、愛する故郷の町だったり、
そして、未来には、自分が殺した人々の子孫として生まれたり・・・
敵と親子として、兄弟姉妹として、出会うことになるわけです。

ほんと、人生なんてそんなもの。

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