2015/10/31

スピリチュアル・カルテNo,4「紅蓮の記憶」

ケースファイルNo,4「Y・Wさんの場合」


一人ひとりの人生にドラマがある。

けれど、
たった一人の人間の人生にも、たくさんの壮大なドラマがあったりする。

今回のは、そのことを実感させられたケースのうちのひとつを紹介します。

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その人は占い師時代のお客さん。
ヒーリングの仕事を始めてまとなく、
私がヒーリングを始めたことを知り、再び訪れてくれたのだった。

「いつも気分がすっきりしなくて、何か後ろ向きで・・・」
相談の内容自体はいたってシンプルなもの。


椅子に座ってもらって、オーラのチェックとクリーニングをしたあと、
ベッドに横になってもらい、エネルギーを流し始めたと同時に、
まるで映画のようにその場面が見え始めた。

場所と時代は中世のヨーロッパのようだった。
(さすがに国はわからないっす)ただ、今わたしたちが呼んでいる国名、
理解している地図の国境ではないようだ、ということだけがわかった。
甲冑を着て、馬に乗り、槍や剣を持って戦争をしている人々。
要塞というのにふさわしい城・・・

そうさなあ、ジャンヌ・ダルクの映画みたいな感じの風景だったよ。

彼女・・・その時代の彼女は男だった。
青年というよりは少年といったいやさ
美少女とみまごうパツキンの美少年だった。
けれど、兵士として戦に参加している。
彼は自分の容姿を呪っていた。
女みたいな、男らしくない自分の姿かたちを。

さてさて・・・男ばかりの戦場で、
そんな彼がどんな目に遭うかというと・・・。

そう、レイプだ。女性に飢えた男が、
限りなく女性の容貌に近い同族である男を
性的対象に選んでしまうというのは仕方がないのかもしれない。
(バナナフィッシュのアッシュを思い出してしまった私は漫画の読みすぎ)

けれど、彼は生き残りたかった。
手柄を立てて、傾いた家をなんとかしたかった。
彼は、自分が飢えた同性である男たちに
そのような対象として求められることを受け入れた。
割り切ったというべきか。
それゆえ、地位が上のもの、権威者のお稚児さんになることにした。
喜んで彼らのペットになった。
侮辱されても、「だから、どーしたっていうんだよ」と開き直りながら、
むしろ逆にそう蔑まれることで泥まみれになってしまった自分を
いやしめることを自虐的に選んでいるかのように。

彼は男色家だったわけじゃない。
性同一障害だったわけでも。

けれど、彼が憧れている人がたった一人いた。
彼には父親がいなかった。
だから、彼にとってのその人は父親のような憧れの対象であって、
恋愛の対象としてみていたわけではない。
多くの上司?たちが自分を抱きにくるのに、
その人だけは寝屋にしのんできたり、
自分をテントに呼ぶことはなかった。
だからこそ、尊敬した。戦場では誰よりも勇ましく、
頼もしい英雄のようにも感じた。

だから、ある時、
ある人物に皆の前で自分を男娼として扱われたときに、
彼が自分に見せた侮蔑の表情(顔を背けられた)を見て、
絶望に打ちひしがれた。
彼はとてつもなく傷ついた。

自分には生きる価値はないほどの汚れた存在だと思ってしまったんだ。

戦争の勝敗が決まり、
兵士や武将たちは故郷や主として君臨すべき場所に戻った。
戻れば妻や子、恋人たちが待っている。
そんな中、彼は用済みだった。
彼を取り立ててくれるといった者はその約束だけには忠実だった。

彼が手にしたものは、ほんの少しの昇進と財産。
故郷に帰り、彼は没落した家を興して、妻を娶った。
しかし、
女性を愛することができなくなってしまった彼の晩年はとても不幸だった。
彼は酒に溺れ、身体を壊して、
かつての美貌も失って、失意のうちに亡くなった。

次に見えたのは、寒い場所。
彼女は女性だった。
ブロンドに近い茶色の短い髪。
背は高く、痩せてはいるがとても大柄な女性・・・というのが印象
(肉食ってます!アングロサクソンです!って感じ)。

変わった洋服を着ていた。民族衣装っぽい気もしないでもない。
場所はアイスランド・・・
スウェーデンから幼い頃に
家族ともども移住してきたようだ(入ってきた情報によると)。
彼女の母親は早くに亡くなり、まだ若い彼女が父親を支え、
弟たちの母親代わりをしていた。
彼女には恋人がいた。
2人はとても仲がよく、結婚するものと、彼女も家族も思い込んでいた。

けれど、とある短い夏のある日、
彼女は散歩にいった森で、見てはいけないものを見てしまった。
恋人がほかの女性と睦みあっている姿を。

彼女は彼の浮気を咎めず、
それを見たことさえも言わず、彼に別れを告げた。
彼女は彼を見た瞬間、「あきらめ」のほうが先で、
哀しみよりも裏切られたことに対する怒りよりも、
彼に期待することをやめてしまったのだった。

当然、浮気しているくせに
それが理由と知らないで振られたと思っている彼は、彼女を非難する。
けど、彼女は何も言わない。
そして、年月は過ぎ、彼も彼女も別の人と結婚して家庭を築いた。
しかし、移住者の村は狭いから、顔を合わせてはいたのだけれどね。
気まずいままに。

その日、見えた(得た)情報はそこまで。
これを告げると、彼女の目からは大粒の涙。
「ものすごく、わかる」と
「それは今わたしが持っている全部の気持ちだ」という。

彼女はいっとき、性的にひどく荒れた生活をしていたらしい
(初めて聞いたことだったが)。
そして、そうやって自分を汚さずにはいられず、
同時にそうした自分を『私は娼婦だ』と蔑んでいたのだと。
「何故、そう思ったのか解らないけど、そうせざるではいられなかった。
けど、過去生を聞いた今ならそれがよく分かる。
これは彼の気持ち、想いだったんだね。自分が赦せなかったんだ」

アイスランドの大柄な女性・・・の気持ちもよく分かると。
あきらめの気持ちはいつでもあって、そのように身を引いたこともあると。
実際にそのようなシュチエーションがあったそうだ、今生でも。

セッションの後・・・その夜、彼女の夢に彼が出てきたのだという。

過去生の自分・・・彼女は過去の自分と話をする不思議な体験をした。
彼女は彼のために泣いて、彼と話をすることで、自分を赦すことができた。

そんなこんなで、彼女の過去を癒す旅が始まった。
月に一回のセッション、カルマ解除をして半年後に大きな変化があって、
最大の変化は一年後だった。

その時、一年目にして始めて、今まで出てきた過去生
(上記以外にもコスタリカのおばさんの人生とか色々)なんて
全然たいした傷ではないぞーってくらいのでっかいのが出てきたんだ。


それは日本だった。
彼女の過去生で唯一、出てきていない土地。
ありそうでなかった日本人としての人生。

時は、日本が大阪方と関東に別れて争っている時代といえば、解るよね。

彼女は「くさ」の一族だった。
忍者のことを「くさ」と呼ぶなんて私には初耳だったけど、
(仮面の忍者赤影とか好きだった私ですが、流石に知りません)
「私はくさのものだった」と彼女の過去生が言ったので。

よく分からないんだけど、当時、
今わたしたちが忍者と呼んでいる人々はそう呼ばれていたらしい。
その時代では。
・・・ということにしておこう。
女性だから「くのいち」と言うべきか。

けれど、その姿は私たちが時代劇で知っている忍者とはだいぶ違う。
みんな、あんな鎖帷子の服なんて着てなかったヨ。
なんかねーみんな汚い格好をして、町の人にまざっているって感じで。
普段は村(集落)にいるけど、ことがあるとスパイとして町に出て、
情報収集と情報操作(民衆を扇動したり)をする・・って人々だったらしいの。
そうじゃない人たちもいたろうし、皆が同じ働きではないと思うが。

彼女もそんな一人だったので、一族がついている主君のために働く立場。
つーか、主君への忠誠っていうよりは、
一族の任務だしってことで受け入れていたみたいだ。

彼女は宿場町?みたいなところの売春宿みたいなところにもぐりこみ
(お女将みたいな人も仲間)、相手方の様子を探っていたんだ。
テレビも無線も電話もない時代、
人の集まるところで人の噂話や町にやってくる人々の動向を探るには、
それがもってこいの方法だったよう。

とはいうものの、彼女も女。
そういう仕事をしてはいても、女性としての心は持ってる。
ある時、彼女はお客としてやってくる敵方の人間に恋をしてしまったんだ。
そして、その恋、情事に溺れてしまった。結果、どうなったか。

見張り・・・という役割を怠った結果、
大事な「変化」を見逃して、それを仲間に伝えるのができなかったんだ。

町の様子がいつもとおかしいことに気づいた彼女、
異変に気づいて、長じゅばん姿のまま、はだしのまま、彼女は走った。

夜明けとともに着いて 目にしたその光景は、
村人が女子ども老人とも、全員が惨殺されている姿だった。
くすぶる煙が未だ立ち上って。

自分のせいで、
自分が役目を怠ったせいで、家族も仲間もみんな死んでしまった。
自分が彼らを殺したんだ・・・彼女はそう自分を責めた。

けれど、その時の彼女の中にはまだ、恋した男の存在があった。
ショックで打ちひしがれた彼女は、しばらく立って少し正気が戻ると、
数時間前まで逢引していた、
その彼のもとにふらふらと向かうしかなかった。

けれど、そこで知ったのは、
彼は彼女がそのような役目の女だと知っていて近づいたのだということ。
彼女から情報を得るために利用し、
彼女の気をそらすためにその日、逢引に誘ったのだということを。
(ここには実は彼女も知らない事実があって、実のところ、
彼は彼女から情報を得たら殺す予定だったのだけれども、
情が移っていたので、彼女の命を助けたくて
村の一斉襲撃に行かせないようにしたというのがあった。
せめてもの温情だったんだけども・・・
死んだ後の彼女もそのことを知ることはなく)
相手のそうした気持ちを知ることができなかったのも、ある意味悲劇だよね。
でも、人ってそういうもの。

彼女は半狂乱になって、かといって死ぬこともせず、
半分気が狂ったように過ごしたんだよね。身体売りながら、投げやりに。
でも、そんな事件にあったの時、
彼女はまだ十代だったんだよ、過酷すぎるさ。

「その時、赤い着物・・・赤い長じゅばん着てましたよね、私」

「うん、そう」

「見える。その光景、
夜明けがなんか気持ち悪いの。あたり一面、血の海で」

彼女は赤い着物が前から気になって仕方なかったという。
けれど、同時に避けてもいる色で。
彼女は黒ばかり着ている。

けれど、それは喪服の意味だ。

自分のせいで、大勢が死んでしまったと、いつも自分を責めていて、
彼らの死を悼む意味で黒ばかり着ていたのだ。

ええっとー 徳川と豊臣のって、いつの時代だよ。
400年も喪に服すことないと思うが・・・長すぎっっっ!

「自分がしあわせにはなっていけないと、
自分は決してしあわせになったり、
満たされたりしてはいけない人間だと思ってた」

その理由がこの人生にあったんだね。
仕事をサボる人、職務にいい加減な人、
恋愛に溺れて仕事を疎かにしてしまう人を
極端に嫌い、赦せないと糾弾してしまう過激なクセも、
かつて自分が恋に溺れて仕事をサボッてしまったがゆえに、
たいへんな悲劇が生まれてしまったことに対する
罪悪感から来るものだったんだね。
かつての自分を赦せないからという所以。

いくつかの罪悪感、過去の哀しみを手放して
やっと、彼女は自分を赦し、癒されるときがきた。
最初のヒーリングから一年、一番の手放せなかった「大荷物」が出てきて、
それを手放すことができて、彼女はみるみる元気になっていった。

最後の最後に中国で金持ちのマダム・・・だった時代の人生が出てきた。
この人生は夫に愛され、芸術を庇護し、お洒落を楽しみ、
当時の金持ち女性の習慣で
自由に一人で外に出れないものの(纏足のため)、
人生をエンジョイした人だった。

そういった人生を送ったこともあるのだよ、と・・・。

彼女のファッションは変わった。
好きなことをするようになった。
無駄な時間を持つようにもなったし、
同僚や上司の動向も気にならなくなった。

ヒーリングを初めてから一年半後、
今の彼女はもはや癒されるべきことは何もない。

彼女の癒しの旅、魂の修復は終わった。


※・・・なーんて、癒されることが何もないというのは、
かなりかっこつけの大げさですが~
たくさんの重荷・・・
長い年月抱え込んできた要らない荷物は手放せたから
今の人生を生きるのには、だいぶ楽になったと思うのです。
もちろん、生きている以上、
人というのは悩みは尽きない生き物ですので。
すべてのことが解決して、今後の人生で辛いことや苦労と出会わない、
ということではないことを断っておきます。

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この後、彼女はセッションに来ることはなかったので、
(こちら掲載了承の連絡のみ)
今どうされているのかは不明ですが、
たぶん毎日を過ごされているのではないかと。
希望的観測ですけれども。

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