ケースファイルNo.21 Sさん一家の場合
「再生する家族・前編~本物の夫婦になるために」
うちのクライアントさんのほとんどは知人友人からの紹介。
サイトを見て、来てくださる方ももちろんいるが、
8割型、友人から話を聞いて、勧められて・・・といった人になる。
占いと違って、ヒーリングって知名度が低いし、
透視だとか、霊能者とか、チャネリングといえば、まだしも、
「ヒーリング?なにそれ」って、
とにもかくにも判りづらいのだろう。
紹介されて来た人の中にも、
占いや何か、と勘違いされて来る人も少なくないし。
どう説明すればいいのか・・・私も今だに判らない。
さて、久々に書くサイキックカルテ。
このケースも、やはり紹介でいらした方々。
奥さんであるその方、そして旦那さん、息子さんと、
見させていただいたケース。
ヒーリングの仕事を始めて、まだ三ヶ月くらいの頃だったろうか。
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家族で農業をされているその方たちの手は、とても荒れていた。
土と向き合うということが、いかに大変なものであるのか、
物言わぬ手がそっと教えてくれる。
初めにいらしたのは、まずは奥さんであり、母であるNさん。
エネルギーを流すため、
ベッドに横たわったその人に触れると、たくさんの情報が流れ込んできた。
厳しい戒律の元で、
とても厳格な姑に苦しめられたイスラムの女性だったときの人生、
親を亡くして親戚に引き取られたものの、
奴隷のようにこき使われて凍死した人生・・・
たくさんの怒りや悲しみ、
あきらめに似た感情が抑圧されて、溜まっていた。
その話をすると、
「学生時代に、イスラムの男の子に恋をしたことがあるのよ」と・・・
何故、日本で?と思うけど、
交換留学生として、たまたま来ていたらしい。
さて、長女であるその人は、
家業である「農業」を継ぐことを義務として、「重荷」に捕らえていた。
幸い、お婿さんとして家に入ってくれる人と出会えたのだれど。
それが本当にやりたいことでなかったのならば、
自我を押し通して、回避することも出来たろうけれど、
彼女は自らの意志でその道を選んでいた。
何故、わざわざその道を選んだのか・・・
理由は、彼女が生きた過去の人生の中にあった。
ある人生で、彼女はぶどう農園の女主人だった。
名前がゲルマンぽいので、
そっちのほうではないかと思ったりもするのだけど。
その女性は、最初から女主人だったというのではなく、
夫を亡くして、女ひとりで、頼りになる自分の身内も夫の親族もなく、
(夫の両親は既に亡くなり、年老いた祖母のような人がいたよう)
跡継ぎである子供はまだ幼く、その子が多きくなるまで代わって、
その農園の主人として広大な敷地を切り盛りしなくてはいけなくなった。
今みたいなオートメーション化された時代ではなく、
すべてが手作業で、人の手にかかってて、農薬もない時代。
地主といっても、のらりくらりしていられるわけでなく、
小作農たちの管理や、泥棒たちに目を光らせながら、
片付けても片付けても、やることはたくさんあって、
それでいて子育てもしなければならず、老人の世話もあり、
慣れていない彼女の神経は磨り減るばかりだった。
このままでは、夫の代まで続いたこの農園をつぶし、
土地自体をも手放すことになってしまう・・・
そう考えた彼女は、「夫」を募集することにした。
女の身では使用人になめられることも多く、
男性でなければ乗り切れないことがあまりにも多かったからだ。
下心ありーの強欲むき出しの様々な応募者に会って、
いい加減辟易していた彼女が、唯一心が動かされたのが、
地元のものではない、他所から流れ着いた、戦帰りの彼、だった。
目的意識もなく、なんとなく来てしまった。
住むところ・・・寝る場所とと食べ物が得られるんなら、何でも。
・・・みたいな、
そんな場違いな雰囲気がかえって、彼女の心を揺さぶったみたい。
まずはお試しで、うまくやれるか否か。
住み込みの従業員として、働いてもらって、
農園の仕事の適性を見ることに。
とにもかくにも、それが出来ないことにはお話にならないので。
彼は彼女の期待を裏切らず、とても働きもので、
教えたことの覚えも早く、
慣れないはずの農園の仕事に適性を示した。
子供たちにも優しく、子供たちのほうも彼によくなついた。
不器用な人で、決して口数は多くなく、
自分の家族や故郷のことなど、過去については語りたがらなかったが。
そんなこんなで、二人は晴れて夫婦になった。
ただひたすら、天候のことを憂い、収穫を祈るばかりの日々。
地味な繰り返しの生活ではあったが、ある意味で「幸せ」だったのだと思う。
でも、人の心はちょっとしたことですれ違い、誤解が生じ、
素直になれないまま、背中を向け合ってしまうこともある。
目の前にある「大切なもの」に気づかないまま。
その詳細については書かないけれど・・・
まあ、
相手なりの「思いやり」や「愛情表現」が伝わらないことって、多々あるよね。
自分が考えてる(こうしてもらいたいという)方法でないと、
人は「見ようとしない」から。
それ以外の方法は欲しくないし、認めようとしないんだ。
すべて「やってくれてない」になっちゃう。
まあ、そんなこんなで、この「二人」彼と彼女には課題が残った。
もう一度、夫婦として向き合って、協力しあい、関係をやり直すという。
この時の彼、夫が現在の旦那さんだったのです。
奇しくも現在の旦那さんも婿養子。
違いは、ここが日本で、農作業といっても、
ワイン造りをしてないってとことか。
全部同じではないけれど。
彼女は、
自分がオールマイティな主婦で妻としても母としても完璧だとか、
そんな自分本位の思い込みを捨て、
同時に完璧にこなそうという気概も捨てて、
自然体で、家族の愛を感じながら、
支えてくれる旦那さんにもっともっと感謝して、
歩み寄って、協力しあって、
生きていくことを覚えなくてはいけないのでした。
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さてさて、その旦那さん。
その人生では、彼女に語られなかったことだれども、
彼はその人生で、
母に冷たく、酒びたりで暴力的な父を嫌って、
少年のときに家出したのだった。
そして、兵士として戦に参加して、生き延びて・・・
故郷に帰ることも出来ず、
ふらふらして立ち寄った村で、彼女と出会った。
ちなみに実家は農業。
だから、適性もあったわけだ。
今の人生でも、彼は次男ではあるものの、
実の両親とうまく行ってなくて、九州から関東に出てきた人。
で、やはり実家は農業(苦笑)
でも、この場合、彼と両親の関係は、過去の繰り返しではなく、
彼が故郷を捨てやすいように、「仕組まれた」ことだったんだけどね。
ていうか、問題のない家庭で、両親とうまく行ってたなら、
次男とはいえ、実家を離れる必要は無かったんだ。
地元で就職して、そのまま暮らしててもよかったってこと。
つまりは、
今生で離れて暮らしたいと思うほどの、親や家族を持っていなかったら、
彼は関東に来なかった。
すると、彼女(今の奥さん)に出会えなかったの。
彼女は関東にいたから。
そんな風に、生家の家族にね、
未練を残すことでその後の進路を邪魔されることがないよう、
わざと、
肉親の情をもちにくい家庭を選択して生まれてくることがあるんです。
そういうことって、結構あります。
そういうケースは、
生家の家族との間に解消するべきカルマがあるというのではなくて、
自分の親という家庭環境が、その人の足をひっばらないように、
縁薄い家庭に生まれることで、
愛情や育ててもらった恩や義理に縛られることなく、生きられるようにって、
そういう選択もあるんです。
で、続きは後半に。
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